「受け取り」と「受取」はどちらを書く?使い分けと表記ルール

表記・送り仮名

一般的な文章で「受け取ること」を表すなら「受け取り」と書くと分かりやすく、書類名・項目名などでは「受取」が使われます。「受取」は単なる省略ミスではなく、文化庁の「送り仮名の付け方」でも、慣用が固定した名詞として認められている表記です。

たとえば、

荷物の受け取りをお願いします。

と書く一方で、

受取書
受取方法
受取場所

のような表記も使われます。

つまり、「受け取り」と「受取」はどちらか一方だけが正しいのではなく、文章中の普通の名詞として使うのか、慣用が固定した名称・項目として使うのかで判断します。

「受け取り」と「受取」の基本ルール

文化庁の「送り仮名の付け方」では、複合語は原則として、それぞれの語の送り仮名に従って書きます。

一方、慣用が固定している名詞については、送り仮名を付けない例外があります。

「受取」は、この例外に当たる語として明記されています。

「受け取り」は普通の文章で使いやすい

文章の中で「受け取ること」を表すなら、

荷物の受け取り
商品の受け取り
証明書の受け取り

のように「受け取り」と書くと、動詞「受け取る」との関係が分かりやすくなります。

文化庁自身の一般向け資料でも、

証明書の受け取り
受け取りにお越しください

のような表記が使われています。

「受取」は慣用が固定した名詞

文化庁の「送り仮名の付け方」通則7では、一般に慣用が固定している名詞として、

受付
受取

などが挙げられています。

したがって、

受取

は、「受け取り」から勝手に送り仮名を省いた誤表記ではありません。

正式に認められている慣用表記です。

場面別ではどう使い分ける?

一般的な文章・説明文では「受け取り」

普通の文章で自分が表記を選ぶなら、「受け取り」にすると読みやすくなります。

たとえば、

商品の受け取りをお願いします。

窓口での受け取りが必要です。

書類の受け取りは本人に限ります。

受け取り方法を選択してください。

のような形です。

送り仮名があるため、「受け取ること」という語の形が視覚的にも分かりやすくなります。

書類名・項目名・固定表記では「受取」

書類名や項目名では、「受取」が使われます。

たとえば、

受取書
受取証
受取場所
受取方法

などです。

特に「受取書」は定着した表記です。

国税庁も、印紙税に関する正式な案内で、

金銭又は有価証券の受取書

という表記を使用しています。

そのため、「受取書」を、

受け取り書

へ直す必要はありません。

正式名称・書類名として「受取」と決められているものは、その表記に従います。

動詞では「受け取る」

動詞の場合は、

荷物を受け取る。

書類を受け取りました。

と書きます。

名詞の「受取」が認められているからといって、

荷物を受取る。

と書くこととは別です。

文化庁の資料でも、名詞では「受取」の慣用を認める一方、動詞では送り仮名を付ける考え方が示されています。

「受取書」はなぜ送り仮名を付けない?

「受取書」は、「受取」という慣用が固定した名詞に「書」が付いた形です。

国税庁では、印紙税法上の文書として、

金銭又は有価証券の受取書

という名称を使用しています。

さらに国税庁は、「受取書」について、金銭や有価証券を受け取った事実を証明する文書として説明しています。

このように、「受取書」は公的にも定着している表記です。

一般文の「受け取り」と同じ基準で、

受け取り書

に変更する必要はありません。

同じ文書で「受け取り」と「受取」を使ってもよい?

役割が違えば使い分けられます。

たとえば、

受取方法

商品の受け取りを希望する日時を選択してください。

という形です。

この場合、

  • 見出し・項目名 → 受取方法
  • 本文 → 商品の受け取り

と役割が分かれています。

一方、同じ本文の中で、

商品の受け取りをお願いします。受取は窓口で行います。

のように、特に理由なく表記を変えると揺れに見えます。

同じ役割で使う場合は、表記をそろえた方が読みやすくなります。

表記を決めるときの注意点

「受取」は単なる省略表記ではない

「受取」は、「受け取り」を短くしただけの略記ではありません。

文化庁の通則7で、慣用が固定した名詞として送り仮名を付けない語に挙げられています。

そのため、

受取=送り仮名を省きすぎた誤り

とは判断できません。

名称は勝手に書き換えない

書類名やサービス名が、

受取書
受取証
受取窓口

などと決められている場合は、その名称どおりに書きます。

一般文では「受け取り」を採用していても、正式名称の「受取」まで変更しないようにします。

同じ役割では表記を統一する

自分で表記を決める文書なら、

受け取り方法
受け取り場所
受け取り日時

のようにそろえるか、

受取方法
受取場所
受取日時

のようにそろえます。

特別な理由がなければ、同じ階層・同じ役割の項目では表記を統一すると読みやすくなります。

迷ったときの判断基準

書く場面表記の目安
普通の文章受け取り
メール本文受け取り
一般向け説明文受け取り
書類名受取書など正式名称に従う
見出し・項目名受取が使われることがある
既定の名称・表記指定どおりに書く
動詞受け取る

自分で普通の文章を書くなら「受け取り」、書類名・項目名などで「受取」が定着している場合はその表記を使う、と考えると判断しやすくなります。

「受取」は誤りではなく、文化庁の「送り仮名の付け方」で慣用が固定した名詞として明記されています。

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