「・」は、並列する語や名前などを並べて区切るときに使うのが基本です。「/」は、二つの項目を対比したり、選択肢・区分として簡潔に分けたりするときに使われます。
たとえば、
東京・大阪・福岡
は、三つの地名を並列しています。
一方、
紙版/電子版
なら、二つの種類を対比して区切っていることが分かりやすくなります。
ただし、「/」には「または」「対」「区切り」など複数の読み取り方があります。意味が曖昧になる場合は、記号だけに頼らず「と」「または」などの言葉で書くのが安全です。
「・」は並列する語を区切る
文化庁の「公用文作成の考え方」では、中黒「・」について、並列する語、外来語や人名などの区切り、箇条書きの冒頭等に用いるとされています。
複数の語を並べる
たとえば、
企画・制作・運営
東京・大阪・福岡
のように、同じ立場の項目を並べるときに使えます。
「AとBとC」を簡潔に見せたい場合に使いやすい記号です。
外来語や人名などを区切る
たとえば、
ワーク・ライフ・バランス
のように、複数の要素から成る外来語の区切りとして使われることがあります。
人名などの区切りにも用いられます。
ただし、固有名詞には正式な表記があるため、名称そのものを書く場合は公式表記を優先します。
「/」は二つの項目を分けて見せる
スラッシュ「/」は、中黒のように公用文一般について細かく用途が定められている記号ではありません。
一方、各種の資料では、対等な関係、比、区切りなどを示す記号として使われています。
二つの種類を対比する
たとえば、
紙版/電子版
国内/海外
のように、二つの区分を対にして見せる使い方があります。
「二つの側を分けて示す」という見た目になるため、対比が伝わりやすくなります。
選択肢を簡潔に示す
たとえば、
可/不可
有/無
男/女
のように、フォームや表などで二つの選択肢を短く区切る場合にも使われます。
ただし、本文中で、
郵送/メールで提出してください。
とすると、「両方必要」なのか「どちらか一方」なのかが曖昧になることがあります。
選択を意味するなら、
郵送またはメールで提出してください。
と書いた方が明確です。
「/」と「・」の違いは「関係」に注目する
どちらも語を区切れますが、見せたい関係が異なります。
同じ立場のものを並べるなら「・」
東京・大阪・福岡
なら、「三つの都市を並べている」と自然に読めます。
同様に、
企画・制作・運営
も、三つの業務を並列した形です。
二つを対にして分けるなら「/」
オンライン/対面
なら、二つの実施形態を対比していることが伝わります。
受付中/受付終了
なら、状態を二つに分けて示す形です。
「複数項目の並列」なら「・」、「二つの側を区切って対比」なら「/」と考えると判断しやすくなります。
同じ内容でも記号で受け取り方が変わる
「/」と「・」は、単純に置き換えられるとは限りません。
「東京・大阪」は二つを並べる
東京・大阪
とすると、東京と大阪を並列した表記として読めます。
「東京/大阪」は区分・選択にも見える
東京/大阪
とすると、
- 東京と大阪の対比
- 東京または大阪
- 東京と大阪の区分
など、文脈によって複数の読み方ができます。
単に二つの都市を列挙したいだけなら、
東京・大阪
の方が意味を限定しやすいでしょう。
「/」を使わない方がよい場合
スラッシュは短く書ける反面、意味が曖昧になることがあります。
「または」の意味を明確にしたい場合
電話/メールで連絡してください。
では、両方なのか、どちらか一方なのかが明確ではありません。
選択なら、
電話またはメールで連絡してください。
と書く方が確実です。
「および」の意味を明確にしたい場合
氏名/住所を記入してください。
では、どちらか一つでよいとも読めます。
両方必要なら、
氏名と住所を記入してください。
と書いた方が誤解を防げます。
正確さが必要な文書
契約書、規程、申請案内など、条件を正確に伝える必要がある文章では、「/」に複数の意味を持たせない方が安全です。
記号で短くするより、
または
および
と
から
など、関係を言葉で明示します。
全角「/」と半角「/」はどうする?
日本語本文では、周囲の文字や媒体の表記方針に合わせます。
日本語の文章では「/」がなじみやすい
全角文字を中心とする日本語本文なら、
紙版/電子版
のように全角スラッシュを使うと、文字幅がそろいやすくなります。
URL・単位・システム表記は半角「/」を変えない
一方、
https://○△□.com/
km/h
のように、URLや単位、技術上決められた表記では半角スラッシュ「/」が使われます。
このような表記を、見た目だけを理由に全角「/」へ変更してはいけません。
「/」と「・」で迷ったときの判断基準
| 書きたい関係 | 記号の目安 |
|---|---|
| 同じ立場の語を並列する | ・ |
| 地名などを複数並べる | ・ |
| 外来語などの区切り | ・ |
| 二つの種類を対比する | / |
| 二つの状態を区切る | / |
| 選択肢を短く示す | /を使うことがある |
| 「または」を正確に伝える | 言葉で「または」と書く |
| 「および」を正確に伝える | 言葉で関係を示す |
| URL・単位など | その表記規則に従う |
迷ったら、「並べたいのか、二つに分けて見せたいのか」を確認します。
単純な並列なら、
A・B・C
二つの区分や対比なら、
A/B
が一つの目安です。
ただし、「/」だけでは関係が特定できない場合があります。正確さが必要なら、「または」「と」などの言葉に置き換えます。
参考資料・参考サイト
- 文化庁|「公用文作成の考え方」解説
- 文化庁|文化審議会建議「公用文作成の考え方」について
- 文部科学省|第3節 表記符号の用法などの学習
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース|文章内にある記号「/」の読み方

